4/12 五感で満たされる大人の休日
先日、JINS PARK前橋で開催されたイベントのレポートです。
風の吹き荒ぶ中、ご来場いただき、ありがとうございました。
桐匠根津さんとのトークショーは、マイクに風の音がかなり入ってしまったので、テキストでお届けします。


【桐匠根津さんのトークショー Q&A】
本日は、みなかみ町で100年以上続く桐専門店「桐匠根津」様より、四代目の根津安臣さんにスピーカーとしてお越しいただきました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
Q1.根津さんのところでは、兄弟全員で跡を継いでいらっしゃいますが、根津さんが跡を継ごうと思ったきっかけはなんですか?
A. 良く聞かれるのですが、継ごうと思った熱い想いだとか決意、伝統を絶やさない!とかそういう気持ちは1ミリもなかったです。何となく群馬に一軒しかないんだ、へ〜。まあ生まれた家の家業が桐屋だし長男だし、社会経験をして30歳くらいになったら継ぐかな。でもどうせ継ぐかと思ってるならさっさとやるか。っていうフワッとした感じで実家に戻ってきました。その後弟もなんか知らないけど戻ってきて、一緒にやる事になりました。
役割分担は、私は何でもやります。複雑なオーダー品製作などは私がやっています。
次男はまな板やマウスパッド、数物の箱の製作などを担当しています。
三男は主に桐箪笥の修理や仕上げを行っています。リフォーム職人です。

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Q2.群馬県で最後の桐箪笥屋と伺いました。全盛期には、何軒あったのですか?
A. 30軒以上はあったみたいです。当時は群馬県桐箪笥組合もあったくらいです。職人の数は80人以上居たと聞いています。
Q3.それがたった一軒になってしまったと。原因はなんでしょうか?
A. 時代と共に生活様式の変化で箪笥などの和家具が必要なくなり求める人もいなくなっていきました。
その時代の変化に対応出来ず、桐箪笥という物から変わることができなかったのが1番の要因だと思います。仕事も減って収入も減り、そんな姿を見ている若者は当然、後を継ぎたいなんて思いません。

Q4.外国からだと輸送費がかかりますよね?なぜ国産のものより外国産のものが安いのでしょうか?
A. 海外(主に中国)は伐採してから7〜10日ほどで板材が完成します。アクが出ないように漂白剤を使い、機械で乾燥させます。
中国産のものは誰でもできるようにマニュアルがあります。山崎さんでも出来ますよ。
それに比べ、国産桐は薬剤を一切使わず、自然の力で乾燥させるので、5〜10年かかります。
国産の板材は、木材の切り方、削り方、材の色味や木目をなるべく合わせるなどの職人技が必要になります。


Q5.みなかみの工房にお伺いした際に、食パンを桐の箱に入れて、カビが生えるか実験しているのを拝見しました。桐製品の特徴を教えてください。
桐製品の一番の特徴は軽さです。顕微鏡で見ると蜂の巣のような穴が空いていて、世界で2番目に軽い木なんです。
桐の箱の中は常に湿度50%を保っており、調湿効果があります。
また他の樹木は酸性なのに対し、桐は弱アルカリ性で、中の入っているものの劣化を防ぎます。
パウロニンという成分が、虫を寄せ付けないので、大切なものを守るのは桐にしかできません。

⬆️ 実験!6年前に入れた食パン カチカチにはなっていますが、カビは生えていません
Q6.先程、外国産の桐は薬剤を使用しているとお話されていましたが、外国産の桐ではそのような効果は期待できないのでしょうか?
A. ある程度の調湿作用は期待しても良い、くらいのレベル。同じ桐でも特性ははっきり異なります。
桐はみんな同じと思っていても、別物と思った方がいいです。
Q7.桐製品を使っていれば安心というわけではなさそうですね
A. 国産桐の流通量は全体の2%しかなく10年後には1%を下回ると言われています。絶滅危惧種みたいになってしまいました。今になってようやくSNSの影響や丁寧な暮らし、暮らしの本質的な豊かさを求める人が増えてきて単なる価格の安さで選ぶのではなく、その物がどのようにして作られた物か(バックストーリー)にスポットが当てられるようになって来たと思います。今まではとにかく価格競争でした。そりゃ価格競争になったら国産桐は輸入材には勝てません。

Q8.たった2%ですか? 安心・安全な桐製品を買うには、どうしたらいいですか?
A. どこが作っているか、どう作っているか、どんな材か、問い合わせてみて色々聞いてた方が良いと思います。職人さんは結構みんな正直に教えてくれますよ。どこ産の桐かどこで作っているかなど聞いてみて見ると良いかと思います。国産かどうか見分ける為の通販のチェックポイントは2つあります。
①製造元→国内製造、日本製、日本産、桐製
②材質→天然木、天然木使用、天然桐使用
この中に当てはまる表記があればほぼ確実に外国産(主に中国)です。国産桐とは全く性質が異なります。
Q9.製品を作る時に気をつけていることはなんですか?
A. よく混同されるのですが、私達は作家では無いので作品を作っている訳ではありません。お客さんに言われた物だけを忠実に作る事に徹底した職人(メーカー)です。なので兎に角お客さんが求める物、寸法、色、木目、等に忠実かどうか。という事を1番気をつけています。
精密さとかそういう事は当たり前なので特に気を付けるという事は意識していません。
ただ丁寧に作る。それだけです。

Q10.それが桐箪笥の引き出しをしめた際に、ふわっと他の引き出しが出てくる技術に繋がるのですね。米びつや箱の蓋がふわっとしまる様子も面白いですよね。
また桐の電気を使わないスピーカーの音のよさに感動しました。
A. 電気を使わない桐のスマホ用スピーカーは、従来のスピーカーの構造と原理は一緒です。そこに桐の持つ、音と共振しやすい特徴が相まって、豊かな音になります。
今日、いらっしゃったお客様に「桐でノートを作って欲しい」とご注文をいただきました。見せてもいいですか?

これは玉杢(たまもく)と言って、丸い模様のある希少で高価な材です。玉杢の桐で作ったお箏で1,000万円するものもあります。一生に一度出会えるか?次にいつ出会えるか分からないもので、ずっと取っておいたものです。何にしようか考えていたのですが、これは!と思いノートにしました。
Q11.作品を作る中で、失敗したことや苦労をしたことはありますか?
A. 木を使うという事ではなく、木を扱うというのが本当に難しくて、大丈夫だと思った板が動いてしまったり、木を扱う事が本当に苦労します。そして永遠にこの勉強は続くのだと思います。
「写真と木目が違う」
というクレームが来たこともあります。
後は売る事にも大変苦労していますね笑
Q12.桐匠さんでは、国産桐を守るために、種から桐を育てていますよね。そして、5月に植樹祭があると伺いました。詳細を教えていただけますか?
はい。種から桐を育て、去年は150本植えました。せっかくなのでみんなで植えようと、毎年植樹祭をしています。
詳細はこれからなのですが、今年は5/17(日)に予定しています。Instagramでお知らせしますので、チェックしてください。
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桐箪笥屋四代目(本当は五代目) 根津安臣 みなかみ町/伝統工芸/国産桐の植栽



ありがとうございます。皆様からも質問はございますか?
昨年の夏に工房へお伺いした時に、真剣にもの作りをしている姿がとてもカッコよくて、動画で紹介したいと思いました。その様子は、おたまんちのYouTubeで紹介してますので、皆様ぜひご覧ください。

